第一部 講義メモ
「飲食企業における働き甲斐、働くモティベーションをどのように作っていくのか。」

2019.10.2 まとめ

 

お二人にとっての生きがい、働き甲斐とは

(笹島氏) 自分は、殆ど休んでいない。最近は、コックコートのまま、飛行機や新幹線に乗ることが多い。自分にとっての生きがいは、仕事そのものである。自分のしたいことをやってきている。 最初にお店を出す時に、自分のお店のファンの方が銀行の方で、融資ではなく、投資だと言って貸して頂けた。自分を助けて頂ける方々と一緒にいられるだけで、幸せを感じている。

(佐藤氏) 自分も大好きな仕事をしている感覚は、一緒である。しかし、自分は、色んな妄想を抱いている。なので、いろんなジャンルのお店を出せていると思う。


生きがいのある職場とは、従業員のモチベーションを引き出す方法とは。

(笹島氏) 最初は、デザイナーになることが夢だった。高校を卒業してから、ある高級レストランのサービスで、働いた。その時に、黒服を着ているだけで、凄いお客様が、一人前に扱って頂いた。 こうした経験を踏まえ、従業員には、基本は、やりたいことをやらせてあげること。これを心がけてきた。気がつくと、うちに居て、独立した人間が、20軒を超えている。 自分が思う、適材適所においた後は、出来るだけ自由にさせてあげること。 今でも、独立した弟子たちが、どうやったら、こうしたことができるかを聞きにくる。

(佐藤氏) 笹島さんの凄さは、惜しげもなく、自分のアイデア、スキル、仕入先を教えて、どんどん独立していくことを、全く躊躇しないこと。 このことは、一見、今日のテーマに反するが、実際は、その実績、情報が、人が集まることに繋がるはず。 自分のお店でも、いくつか独立したいと言って、入ってくる人は、いつか自分達の敵になるうことを承知で入れることだと思う。

まず飲食店に働きに来た人間が独立する理由とは、
1.お金を稼ぎたい。
2.自分のしたいことをしたい。
3.したい人としたい。
この3つに理由に集約される。

つぎに、独立した後に、どこかに行ってしまわないようにするにはどうすべきかいうことで、
1. 仕入の共有(いかに会社と同じ仕入価格で仕入れてあげられるか。)
2. 家賃の安い条件で、出店できるようにしてあげること。
3. 病気等で営業ができなくなった時に、助け合うユニオンを作ること。

こうしたことを、独立した人間と組む方法を考えて、実践している。
場合によっては、独立する人間に、独立資金を貸すこともしている。 つまり、独立する人間が出せる資金は、かろうじて出せて、自社がその残りを出している戦略だ。 この作戦は、他の会社ふくめ、どこでも使えるはずである。

もっと言えば、食材費、人件費、水光熱費、家賃、減価償却費の要素しかない。 その中で、まともな店で、この5大要素に手を付けられるのは、家賃と減価償却費しかないというのが、自分の持論である。

(淡路島プロジェクトの画像をみながら)

これは、淡路島の中でも放って置かれた場所でした。土地は自社で所有しているが、PL上は償却しない。建物費用は、約2億円だが、2.4億円として、20年償却として、月額約百万円が家賃と減価償却費に当たる。この店で、月間2千万円売り上げると、減価償却費込みで、家賃が約5%で収まる仕組み。つまり(売り上げしだいで)家賃比率を下げられるということだ。 丸の内で家賃が高いのは当たり前。でも、こうした土地で、こうした構造をつくることは可能であること。 地元の漁師の魚と、地元の野菜で、実行する人を見つけて、やっていただく。 モチベーションをキープするには、やはり、高収益をとって、給与に還元できることが大切。

(小石川のお店の静止画をみながら)

小石川のお店は、家賃が坪6,000円、印刷工場跡地。2階のベランダをテラスに改造した。 ベランダは、坪4,000円で、年間約2億円売上がある。トータルの家賃は、約40万円なので、家賃比率は、2~3%になっている。

独立する(できる)従業員、残る従業員とは。

(笹島氏) 昨年、佐藤さんのお店で、コラボイベントをさせて頂いた。その時に、佐藤さんの従業員がキラキラしていた。 専門料理ではない、お店で働いているお店の従業員がキラキラしている。 独立したい従業員は、できない従業員に対し、どうしてできないかということを問い詰めていく。独立まで考えていない子は、辞めていく。こうした子をどうやったら、残ってもらえるか。どうやったら、佐藤さんがどうされているかを聞きたい。

(佐藤氏) 自分自身が、大学を中退して、ファッションの業界に入った。その中で、成功していき、給料がどんどん上がっていた。それを砕かれる事件があり、退職をした。それは、自分がやれる可能性をつぶされる代わりに給料を保証されたからだ。 やはり、未来をみれるかということ。自分のこととして、できることでない限り、仕事ではない。

例えば、自分の腹心の安藤という常務は、部下を厳しく突き放している。無限の広がる可能性を求める会社にすること⇒やりたい仕事ができる会社にすること。

地方から来られている受講生へ

(笹島氏) 京都は、今は、料理店と生産者が提携している。ということが出来ている。でもこれは、ここ20年間くらいの動きであり、昔から出来ていたことではない。 そういう意味では、今の京都のやり方は、地方の方が参考になる要素は色々あると思う。 これも何人かのキーマンが動けば、できることだと思う。

(佐藤氏) 食の力は、恐るべしである。今は、淡路島が熱いということで、注目されている。 地震以降、さびれたエリアが、大阪への橋が出来てから、逆にどんどんさびれていった現実があった。地方の方程、一度見学されたら参考になると思う。

講座総括/今後の飲食店がやっていくべきこと

(笹島氏)
まねをしないこと。強い想いを持つこと。

ネット社会で、すぐに配信される世の中では、ガストロノミック的料理は、じきに廃れていくと思う。 やはり、自分の胃袋を捕まれているところに行く。たとえば、そば、ラーメン他の美味しいお店だ。 そろそろ、それに通ずるものにシフトを考えている。
そしてなにより、美味しいものでないとダメ。 料理人は、変わったものではなく、美味しいものを出す。安全で、健康にいいものを出すこと。これは、都会も地方も一緒である。 今日も、パスタは、最初は、蟹を出そうかと思ったが、やはり、ボロネーゼにした。これは、必然的にうまい。美味しいものしかない。 たまに、こんなものを出すなんて、、というお客様もいるが、美味しければいいと考えている。 地方でも、おいしいものを作り続けたら、きっとお客様は来ます。

(佐藤氏)
やってはいけないことをあえていいます。

やりたい人がいなかったから、やらない。
経営者がいいと思っても、従業員の中で、やりたい人がいなかったらやらない。
流行っていると世間で言われたら、やらない。

それはもうピークアウトしている。回収する前にすたれる。
流行りの商業施設はやらない。

つまり、流行りはやらない。美味しいものをつくるだけ。