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スペシャルレポート
第一部 ファシリテーター:三菱地所(株)商業施設営業部 専任部長 綿引 浩之 氏


2019.11.21 / Report

「ブランド意識を持って、お客様にもてなし、それを従業員に背中で見せていくこと。地元で愛されているもので、いかにもてなせるか。」


今回のひらまつさんは、実は、開講記念講座をお願いした、三國シェフからの強い要請があった。三國さん曰く、「これからのレストラン経営を学ぶならば、絶対に、ひらまつが持つ、ホスピタリティ哲学を学ぶべきだ。」

三國さんご本人がフランスから、レストランのホスピタリティを学んで帰国、レストランを始めたが、平松氏は、元々、ホテルのホスピタリティをフランスから持ち帰り、レストランを始めていた。このホスピタリティこそ、現代からこれからに生かせるものであると知った平松氏はその後、レストランからブライダル、ホテル、旅館、そして学校まで手掛け、一部上場まで果たした。

できれば、この講座の中で、ぜひ平松さん自身に、この哲学を語って頂くことが望ましいと三國さんからもコメントを頂いた。そこで丸ビル出店よりお付き合いのあった、ひらまつ服部副社長を通じ、結果としては、約3年前から社長に就任された陣内社長、そして、ひらまつのホテルのホスピタリティを現場で実践されている、荒井社員女将のご登壇が決まった。

当然ながら、お二人とも、大変お忙しく、ご登壇日もなかなか決まらず、そして、事前打ち合わせもできるのかと危惧していた中で、10月末に打ち合わせ時間を頂いた。

お打ち合わせを通じて、服部副社長も含め、様々な話が飛び出してきたが、その中でも、荒井女将からの、下記の言葉が忘れられない。

「自分は、ブランド意識を持って、お客に接することを心掛けている。ブランドを作れれば、素晴らしいお客様が、プライドを持って、滞在頂けるようになる。そうしないと、そういうお客様が行くところがなくなってしまう。そういうお客様の期待感、安心感を裏切らないサービスを目指している。これは、ある種、ルイヴィトンのようなものである。その意味では、背伸びをして来られる若いお客様に対しても同様である。」

「いかに従業員に背中を見せることが大切。
お客様に対して、大切なことのもう一つとしては、お客様には、不安にさせないこと、あんまり考えさせないこと。
その不安感をさせない努力はできるだけするように心掛ける。
これをどうやってやればいいのか。を実際に見せてあげて、従業員に伝えていく。」

「おいしいお土産を買ってあげる、地元のおいしい店を取ってあげるということをやっていくと、お客様には、喜ばれ、地元にもいい意味でのネットワーク、コミュニケーションが生まれる。」

「この店で働いていることがかっこいいと思えることが大切。飲食業が、汚い仕事のイメージをどのようにして払拭(ふっしょく)するのか。かっこいい制服を作っていくこともそうだが、従業員の良いプライドを見出していくことが大事。」


また陣内社長からお聞きした、料理人を目指して入社したにもかかわらず、平松社長の一言で、サービスに回る決心ができたエピソードということも欠かせない。

自分の長所、短所を、平松社長が見抜いていたこと。
それに素直に従え、そのエピソードをだれにでもいつでもお話できること。

これは、フランス建国の精神に通じる、ひらまつ憲章を自らつくり、合宿を交代制でしながら、全従業員一人一人に自ら指導していった平松社長の熱い想いの賜物だと感じた。

このことが、今のひらまつのサービスの原点となっている、陣内社長の従業員に対する教育哲学に根差していると思われる。

食の仕事の喜びをどのように伝えるのか。
食の素晴らしさをどう伝えるのか。

それが、荒井女将他の幹部社員に浸透しているのであろう。

荒井女将曰く、「今の若い人は、興味がなければ、どう教育しようと、聞かない。一人ひとりの従業員に、興味のあることを使って、どう教育していくか。」

そして、「地方との共生。」
ここでも、二人から、地方活性化、地方食材の活かし方のヒントが連発した。


陣内氏
「料理長は、悩みながら、地元の生産者と接するようになって、お客様に喜ばれる料理を出せるようになった。地方に出店することによって、その地方の良さを知り、発信することができるようになった。」

荒井氏
「ここに来るお客様は、おいしいものをよく食べている。地方の食材を、平松さんらしく料理されて出るのを本当に楽しみにしている。熱海の食材以外の食材を使って、熱海の食材が引き立つように料理している。熱海の地元に住んでいる人しかわからない素敵な食材がたくさんあって、おいしい食材も料理もある。こうしたものをもっと、お客様に伝えていきたい。これは、おそらく、地方における食のあり方、PRの仕方に直結しているし、又、この手法は、もちろん、都会のレストランでも応用できるはずだ。」


そして、ホテル、旅館とレストランの共通点と相違点。
一番驚いたのは、地元でライバルであるはずの同業の旅館、ホテルが結束していること。
一緒にお客様のパイを拡げる努力を一致団結していること。

これは、地方における集客の危機感の一つであると思われるが、今後は、同じレストランゾーンでも同様の考え方で、一致団結した方が、相乗効果があると思われる。(新丸ビル丸の内ハウスのような事例)これも、おそらく、フランスでの平松氏の経験が裏打ちされているものと思われる。


最後に、ひらまつ流ホスピタリティとは、
「ホスピタリティ(おもてなし)は、見えない気持ちである。」

例えば、女将自ら、お客様の切符を買ってきたり、お土産の干物を買ってきても、お客様は、嬉しいと感じたり、安心したりする。それを見た従業員は、それの真似をしていけば、お客様に喜ばれることを知る。例えば、社長自らが、お客様の車が道路でこすらないかと心配で、見に行っても、本当に、ぶつかりそうになるまでは、声はかけない。でも、それもお客様は嬉しいと感じ、従業員は、それが素晴らしいサービス精神だと悟る。

ひらまつのサービス憲章は、当然ながら、人づてに伝わり、人の中で、育まれ続けている。

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